秋の和モダン

毎年金木犀が薫ると季節がうつろっていると感じます。ここ数年、特に時間に追われている夏が終わり、ほんの少し息をついたところで、まるで浦島太郎のように茫然となった時間の感覚が金木犀に呼び醒まされている感じです。日本の秋は、酷暑のピークが過ぎ去ったあと、秋の実りと小春日和、秋雨・台風を織り交ぜながら、少しずつ冬へと近づいていきます。比較的あたたかい秋の期間が長い、というのは、ここに住む私たちにはあたりまえで見過ごしがちな日本の四季の恩寵です。

今年はいそがしかった夏の合間に、教室紹介をお願いしている東京レッスンさんの“1回完結セレクトレッスン” を準備してきました。10月にというお話でしたので「『秋の花』を取りあげましょう。」ということになり、『秋の和モダン』( 10月17日(土)14:00〜15:30 )としてご提案しています。

今現在、人々にどんな花が人気かといえば、きっと欧米スタイルのアレンジメントやブーケに向いた洋花ですよね。私自身もふだんから花は和洋を問わずに選びますし、参加している草月は型を超えていくことを提唱していますので、花材の和洋に垣根はありません。それでも、洋室がほとんどを占めるようになった今のライフスタイルや時代の気分の大きな流れは和ではないだろうと思っています。花材もバラ・ダリア・ガーベラ・トルコキキョウと華やかな花も取り入れています。むしろ、和の花を入れるときは室内に置かれて浮き上がってしまわないように取り合わせに気を配ります。

そんななか、今回東京レッスンさんからセレクトレッスンのご提案を頂いて、この機会に『和花でモダン』をテーマにしたいとひらめきました。
巷に言われる和風の原点『床の間・障子・襖』を絶妙配置した義政の銀閣。そこに立った時、いちばん私の感覚を喜ばせたのは、白い庭の枯山水が見せている立体幾何学造形でした。(世界遺産のページにリンクしました。)一昨日、昨日はスーパームーンでしたね。銀閣についてあらためて読めば、月明かりを白砂で反射させて建物を照らそうとした、とのこと。どれほどの感性と知性、または創造力なのでしょう。言葉を失います。
これはモダンをこえた現代の、いえ“超時空のランドスケープ(風景)”とでも言ったらいいでしょうか。銀閣に限らず、和が突きぬけて軽やかに時空を刻むときには、ある種の清々しさとともに、花だけでなく野草や実、樹木の紅葉など日本の自然が生みだす植物のいろどりの奥深い豊かさが際立ってくるように感じます。秋は特に、その表情の豊かさ深さもひとしおですね。

筆に任せて(キーボードにまかせて)書き進むうちに、なんだかすごく敷居が高く難しいレッスンをするみたいになってしまいました(^^;)。 実際は“和の花材を本数を絞ってシンプルに使い、モダンないけばなに仕上げよう”という趣旨です。いけばなが初めての方も、むずかしいテクニックは不要(器と花を取り合わせていけるだけ。)ですので、安心して参加して下さい。どなたでも必ずすてきないけばなをいけていただけます。

今回の『秋の和モダン』のお申し込み・お問い合わせは、東京レッスンさんのほうでまとめていただくようお願いしています。

東京レッスン.com  
東京レッスン(セレクトレッスン)お問い合わせ・お申込み電話 03-5457-8031

どうぞお気軽にお申込みください。

花のスタジオ 花圓紗維(かえんさい)
喜  苑(きえん)